名将・野村元監督の言葉に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのがある。
(備前国平戸藩主だった松浦静山の随筆集からの引用)
負ける時、すなわち馬券を外す時には不思議な点はなく、負けて然るべき要因がある。
ふり返れば、負けた理由が浮かびあがるということですね。
今思えば、最大のポイントはワールドプレミアの扱いでした。
菊花賞で最も参考にすべき前哨戦は2400m神戸新聞杯です。
特に今年は、サートゥルナーリア、ヴェロックスという、世代を代表する強豪が出走しました。
サートゥルナーリアの強さばかりが際だったレースでしたが、後方からサートゥルと同じ32秒3の上がりでヴェロックスにコンマ2秒まで追い上げた武豊のワールドプレミアの末脚にも目を奪われたものです。
ひょっとしたら、若き武豊が制したスーパークリークのような晩成型かも知れないと頭をよぎりました。
父はディープインパクトで母父はドイツのステイヤー・アカテナンゴで長距離に不安がありません。
近年は3年前にサトノダイヤモンド、昨年もフィエールマンとディープ産駒が優勝しています。
京都の外回りは2戦2勝、武豊の調教談話もすこぶる良し、枠も絶好の3枠5番。
こんなに好材料が並んでいたら重視すべきだったのですが、、。
出来なかったのはワールドプレミアが人気になっていた事です。前売りの段階からずっと2人気(最終的にはニシノデイジーに次ぐ3人気)でした。ファンも強さというかスケールの大きさを認めていました。
なにせ2億4,000万円の馬です。
今回はヴェロックス軸で仕方がないという先入観がありました。ヴェロックスの相手にワールドプレミアならまさに本命馬券になってしまいます。
貧乏人の性分としては、配当面を考えると相手にワールドを重視する気は失せてしまうのですよ。
そうなると、こんどはワールドプレミアのマイナス面を無理に探すことになります。
人気し過ぎとか神戸新聞杯は菊花賞出走狙いの後方からだったので末脚が切れた、本番では後ろからでは届かないとかです。
しかし菊花賞最多優勝の武豊です。好枠からいつもより前のインでじっと動かず、直線で楽々抜け出す完璧な騎乗でした。
やっぱり来たか!ああー
「負けに不思議の負けなし」の言葉が胸に突き刺さりました。