「ずっとこの馬(ブラストワンピース)はG1を取れると言い続けてダービー、菊花賞と結果を出せなくて、やっとそれを証明することができて本当に嬉しいです」ファンの前で満面の笑みを浮かべて語る池添騎手。
このレースに懸けた彼の一言一言が胸を打つ。大一番はレース内容と優勝インタビューがセットになってこそ脳裏に焼き付く。
それにしても池添というジョッキーは大舞台で無類の強さを発揮する。
勝ち星をバンバン積み重ねるタイプではない。騎手リーディングでも上位に名を連ねることはない。
だのにG1はこれで24勝目、有馬は単独最多の4勝を誇る。
2009年 ドリームジャーニー
2011年 オルフェーヴル
2013年 オルフェーヴル
2018年 ブラストワンピース
有馬は10回参戦して4勝だから恐れ入る。
宝塚記念でも3勝、ドリームレース通算7勝は武豊騎手と並ぶ最多だそうだ。
外国人騎手が席巻する昨今、ここぞという時は日本人騎手としての存在感を示している。
2017年は桜花賞のレーヌミノル、2016年オークスのシンハライト、2015年ジャパンCショウナンパンドラと大レースで結果を出している。
池添はオルフェーヴルに代表されるようにこれまでに数々の名馬と巡り合ってきた。ドリームジャーニー、デュランダル、スイープトウショウ。他の日本人騎手が羨むぐらい。
今回のブラストワンピースは関東の大竹厩舎の管理馬で、デビューからずっと乗っている。大竹正博調教師は開業10年目、23度目の挑戦で初のG1制覇だ。
ブラストワンピースがデビューする前の昨年夏に大竹師は「俺のG1初勝利はお前のような気がする」と池添騎手に向かって話したという。池添騎手も「僕もそんな気がする」と返したそうだ。
東西のコンビが有馬という大舞台でそれを実現した。
今年の有馬も私にとって忘れがたいレースとなった。