馬の前に、馬

馬券下手が競馬をすれば、いかに負けるかを実証

夏の小倉と菊花賞馬

夏の小倉競馬を語る時、その馬の事を書かずにはいられません。
その馬がデビューしたのは、同期の馬たちの最高の舞台、日本ダービーの前日という遅いものでした。
2014年5月31日、京都競馬場の未勝利戦芝1800m 、
10番人気で10着に終わりました。2戦目は阪神ダート1800m 、ここも9着と大敗が続きます。
3戦目は7月の中京芝1600m、人気も当然のようにありませんでしたが、このレースで初勝利を挙げます。
と書いたものの注目度も低く、私もレース内容は全く覚えていません。
記録によるとハナ、頭差の接戦で単勝が44倍も付いています。
この未勝利勝ちの時点で、その馬が菊花賞馬になるなんて誰が想像できたでしょうか。
トーホウジャッカル
 父スペシャルウィーク、母トーホウガイア。
春のクラシック戦線を賑わした馬たちは、夏のこの時期は休養して秋に備えます。まだ1勝のトーホウジャッカルは真夏の小倉へ向かいます。
1週目の500万下芝1800mの古馬混合戦、6番人気ながら好位から差し切る危なげない勝ちっぷりでした。続く玄海特別芝2000m で古馬のエーシンマックスにクビ差の2着。このレースが後の偉業への大きなポイントになったと個人的には思っています。後に酒井騎手も谷潔調教師も新聞記事によると、このレースで末脚の確かさを確認でき、得るものが大きかったそうです。
そして次に臨んだのが3歳の強豪が揃った神戸新聞杯です。小倉で強い競馬を見せたとはいえ、9番人気の評価に過ぎませんでした。神戸新聞杯前日のBS イレブン競馬中継で、出演していたサンスポの板津さんという若い記者の方が、トーホウジャッカルを本命に推していたのをはっきり記憶しています。
このレースで、トーホウジャッカルはダービー馬のワンアンドオンリーに頭、頭差に迫る3着、板津記者の眼力を証明するような末脚でした。
追加登録料を払って挑んだ菊花賞はご承知の通りです。
内枠を生かして直線早々と抜け出し、サウンズオブアースを退けて優勝しました。腸炎を患ってデビューも危ぶまれた馬が、初出走から149日目の史上最短で栄冠に耀きました。
また優勝タイムの3分01杪0は従来の記録を大幅に塗り替えるJRA レコードでした。
夏の小倉の2戦で逞しく成長したトーホウジャッカル。
馬体に芯が入ったというような表現では説明できない何かがあったのでしょうね。
第二のトーホウジャッカルのような3歳のお宝馬が今年も出てくるかも知れません。
夏の成長馬には目が離せません。